ワイヤーソー

類似のものではチェーンソーが有名ですが、のこぎりやカッターの代わりにワイヤーを使って物を切断するものです。チェーンソーでは鎖(チェーン)に刃がついていて鎖を切断したいものにあてて鎖を移動することで物を切断します。ワイヤーソーではチェーンの代わりにワイヤーを使用しているだけのことです。一般には鉄筋コンクリートなどをダイヤモンドなどの刃のついたワイヤーで切断するものがググるとすぐに出てきます。

研究室では硬くて脆い結晶を切断するためにワイヤーソーを使用しています。通常、ワイヤーソーを固定していある物にあてて切断しますが、研究室のものはワイヤーソーを固定しておいて切断したい物をワイヤーに接触させて切断します。ワイヤーには直径 0.1~0.3 mm のステンレス線を用いますが、ワイヤーだけでは結晶の上をワイヤーが滑るだけなので、ワイヤーにスラリーと呼ばれる研磨剤を塗って使用します。

写真ではワイヤーが細くてあまり良く見えませんが、左右のプーリーにループ状のワイヤーをかけ、中央の小さな円形の試料台の上に結晶を置いて、右側の紙コップの上にある円柱状のおもりで試料とのバランスをとって、結晶をワイヤーに接触させて切断します。

Handmade wire saw
Handmade wire saw

スラリーには、水にグリセリンを溶いたものに研磨剤を混ぜたものを使用しています。水溶性の結晶では水だけでもいいのですが、飛び散った水が結晶を溶かしてしまうことがあるので、結晶が溶けないように工夫します。ダイヤモンドコーティングされたワイヤーも市販されていますので、それを使えばスラリーが不要なドライな切断ができますが、ワイヤーが切れた時の心的な衝撃が大きいので、、あまり使いません。

半導体の工場では、インゴットからウエハーを作るときに1本の長いワイヤーを巻き取りながら切断し、ワイヤーの端まで来ると今度は逆回転させて切断することを繰り返すそうですが、ループ状のワイヤーでは1方向だけに動かして切断できるので、結晶へのダメージが少ないと期待はしていますが、つなぎ目のないループ状のワイヤーはそれだけで高価なので、上手に使えば1年以上も使えるのですが、切る人は結晶を切らずにワイヤーをものの数分で切るので、悩みどころです。

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