薄膜(はくまく)とは薄い膜のことで、厚さが数ミクロン(ミクロンは 0.001 mm)以下の膜を差します。箔(フォイル、foil)や層(レイヤー、layer)と呼ばれることもあります。
薄膜は、以下に示す効果のために、ある程度の大きさを持つ塊(かたまり、バルク)とは異なる特徴を持ちます。
- 表面効果
材料内部の原子にはその上下前後左右にも原子がいますのでそれらの原子と何らかの影響を及ぼしあっていますが、表面にある原子にはある方向だけ原子が存在しません。このため、表面では電気的、化学的、熱的特性が内部とは異なっています。薄い膜ほど表面効果が大きくなります。 - 界面効果
膜はそれ自身だけで自立しないので、基板と呼ばれる清浄な表面を持つ板の上に作製されます。この基板と膜の材質が異なる場合、基板表面と膜の境目(界面(かいめん))では、電気的、化学的、熱的特性が膜の内部とは異なっています。基板の原子の違いだけではなく、表面の凹凸にも左右されます。 - 積層効果
異なる材質の薄膜を積層すると、界面を通して相互作用をおこして、新たな機能が発現することがあります。 - サイズ効果
膜の厚みが電子の波長(ド・ブロイ波)程度になると電子の状態密度が離散化され、エネルギーバンドギャップが大きくなります(量子サイズ効果)。
薄膜を作成するには、以下の方法などがあります。
- 気相法
- PVD
- 真空蒸着法
- 抵抗加熱
- 分子線エピタキシー(MBE)
- イオンプレーティング
- クラスターイオンビーム(ICB)
- スパッタリング
- 2極スパッタ
- RFスパッタ
- マグネトロンスパッタ
- イオンビームスパッタ
- レーザーデポジション
- 真空蒸着法
- CVD
- 熱CVD
- プラズマCVD
- 光CVD
- プラズマ重合
- PVD
- 液相法
- 電気めっき
- 無電解メッキ
- 液相エピタキシー
- その他
- 塗布・印刷法